ゲインズバラ

トーマス・ゲインズバラ（Thomas Gainsborough、1727年5月14日 - 1788年8月2日）は、18世紀イギリスを代表する肖像画家、風景画家です。
華麗で優雅なロココ様式の肖像画で知られていますが、風景画にも才能を発揮し、イギリス美術史に大きな足跡を残しました。

特徴

優雅なロココ様式の肖像画:流れるような筆致、繊細な色彩、
そしてモデルの気品や内面を捉える卓越した描写力で、当時の貴族社会に愛されました。
背景の風景と人物を融合させた独自のスタイルも確立しました。
詩情豊かな風景画:故郷サフォークの自然をこよなく愛し、田園風景や自然の美しさを詩情豊かに描きました。
ロマンティックで幻想的な風景画は、後のイギリス風景画に大きな影響を与えました。

生い立ちと生涯

1727年、イギリス・サフォーク州サドリーに生まれる。
幼い頃から絵画の才能を発揮し、10代でロンドンに出て絵画を学びました。
1746年、画家マーガレット・バーと結婚。
バースで肖像画家として成功を収め、上流階級の顧客を獲得しました。
1768年、ロイヤル・アカデミーの創立会員となり、ロンドンで活躍しました。
1788年、ロンドンで死去。

技法と革新

流麗な筆致:軽やかで自由な筆致は、人物の優雅さや繊細な感情を見事に表現しています。
色彩の魔術師:繊細な色彩感覚を持ち、特に青やグレーの色調を巧みに使いこなしました。
風景と人物の融合:肖像画の背景に風景を取り入れ、人物と自然が調和した独自のスタイルを確立しました。

代表作

グレアム夫人:ゲインズバラの代表作の一つ。
若き貴婦人の気品と美しさを、流麗な筆致と繊細な色彩で描いた傑作です。
アンドルーズ夫妻像:夫婦の肖像画と広大な風景を融合させた作品。
ゲインズバラ独自のスタイルが際立っています。
コックさんの青い少年:青色の衣装をまとった少年の肖像画。
ゲインズバラの色彩感覚と筆致の素晴らしさが際立つ作品です。

影響と評価

ゲインズバラは、ジョシュア・レイノルズと並び、18世紀イギリスを代表する画家として高く評価されています。
肖像画と風景画の両分野で才能を発揮し、イギリス美術史に大きな足跡を残しました。
そのロマンティックで詩情豊かな風景画は、後のターナーやコンスタブルなど、イギリス風景画の発展に大きな影響を与えました。