ブーグロー

ウィリアム・アドルフ・ブーグロー（William-Adolphe Bouguereau、1825年11月30日 - 1905年8月19日）は、
19世紀フランスのアカデミズム絵画を代表する画家の一人です。
その作品は、写実的で甘美な女性像や神話画、風俗画で知られ、当時のサロン（官展）で絶大な人気を博しました。

特徴

写実的で理想化された人物描写: ブーグローは、卓越したデッサン力と技術で、
人物を非常に写実的に描きながらも、理想的な美しさを追求しました。
特に女性や子供の描写は、優美で愛らしく、観る者を魅了します。
古典的な主題と構図: 神話や聖書、文学作品などを題材とした作品が多く、構図も古典絵画の伝統に基づいています。
滑らかな筆致と色彩: 筆跡をほとんど残さない滑らかな筆致と、明るく透明感のある色彩が特徴です。

生い立ち

フランスのラ・ロシェルで、ワイン商の息子として生まれました。
幼い頃から絵画の才能を示し、地元の美術学校で学びました。
1846年にパリの国立高等美術学校（エコール・デ・ボザール）に入学し、フランソワ＝エドゥアール・ピコに師事しました。

生涯と背景

1850年にローマ賞を受賞し、イタリアに留学しました。
そこでルネサンス絵画を学び、古典的な美の概念を深めました。
パリに戻ってからは、サロンで活躍し、数々の賞を受賞しました。
当時のフランス画壇は、印象派などの新しい芸術運動が台頭していましたが、ブーグローはアカデミズムの伝統を守り続けました。
ブーグローは大変な人気があり、裕福で、たくさんの子供を持つことが出来ました。
しかし子供達を何人も失うという悲劇も経験しています。
1905年、ラ・ロシェルで80年の生涯を閉じました。

技法と革新

ブーグローは、古典絵画の技法を徹底的に研究し、それを現代に生かしました。
特に、油彩画の技法に優れ、何層も絵具を重ねることで、透明感のある肌の質感や光の表現を可能にしました。
写真技術が生まれた時代でもあり、ブーグローの絵画技術は写真以上に写実的であると評価する人もいました。

代表作

「ヴィーナスの誕生」・「プリマヴェーラ」。
「天使の歌」・「洗濯をする若い羊飼いの少女」。
「コケットリー」。

影響と評価

ブーグローは、当時のサロンで絶大な人気を博し、多くの画家たちに影響を与えました。
しかし、印象派などの新しい芸術運動が主流になると、その保守的な作風は批判されるようになりました。
20世紀後半になると、再評価の動きが起こり、その卓越した技術と美意識が改めて注目されています。