パルミジャニーノ

パルミジャニーノ（Parmigianino、1503年1月11日 - 1540年8月24日）は、イタリアのマニエリスムを代表する画家のひとりです。
その独特で洗練された画風、そして奇抜な生涯は、今日に至るまで多くの人々を魅了し続けています。

特徴

優美で洗練された人物描写:パルミジャニーノの描く人物は、細長く優雅な肢体、小さな頭部、そして流れるような髪が特徴的です。
特に女性像は、その優美さが際立っており、官能的で神秘的な雰囲気を漂わせています。
マニエリスムの代表:マニエリスムとは、ルネサンスの均衡と調和を否定し、より主観的で装飾的な表現を追求した美術様式です。
パルミジャニーノは、そのマニエリスムの代表的な画家として、独特の様式を確立しました。
実験的な技法:彼は、凸面鏡に映る自身の姿を描いた「凸面鏡の自画像」など、革新的な技法を積極的に取り入れました。
また、版画にも才能を発揮し、多くの作品を残しました。

生い立ちと生涯

パルマでの誕生と初期:パルミジャニーノは、イタリア北部のパルマで生まれました。
幼い頃から絵画の才能を発揮し、コレッジョの影響を受けながら独自の画風を形成しました。
ローマでの活動と「ローマ劫掠」:1523年、ローマに移り住み、ラファエロやミケランジェロの作品に触れ、大きな影響を受けました。
しかし、1527年の「ローマ劫掠」によって活動を中断され、ボローニャへと逃れました。
晩年と死:その後、故郷のパルマに戻り、多くの傑作を生み出しました。
しかし、晩年は錬金術に没頭し、精神的に不安定な状態となり、37歳の若さで亡くなりました。

技法と革新

独特の遠近法:パルミジャニーノは、伝統的な遠近法を歪ませ、幻想的で奇妙な空間を作り出すことに長けていました。
光と影の巧みな表現:光と影のコントラストを強調することで、人物の表情や感情を豊かに表現しました。
版画の活用:絵画だけでなく、版画にも才能を発揮し、自身の作品を広めることに貢献しました。

代表作

「凸面鏡の自画像」:凸面鏡に映る自身の姿を描いた、非常に独創的な作品です。
彼の若々しい美貌と、実験的な技法が融合した傑作として知られています。
「首の長い聖母」:細長く優美な聖母子像が描かれた、パルミジャニーノの代表作です。
マニエリスムの典型的な作品として、高く評価されています。
「聖ロコ」:パルミジャニーノの祭壇画の代表作であり、その劇的な構成と人物の感情表現が印象的な作品です。

影響と評価

マニエリスムの発展に貢献:パルミジャニーノは、マニエリスムの発展に大きく貢献し、後世の画家に多大な影響を与えました。
独特の美学:彼の作品は、独特の美学と幻想的な世界観を持ち、今日でも多くの人々を魅了し続けています。
再評価の動き:近年、パルミジャニーノの作品は再評価されており、その芸術性の高さが改めて認識されています。
パルミジャニーノは、その革新的な技法と独特の美学によって、イタリア美術史に名を残す偉大な画家です。