フランソワ・ブーシェ（François Boucher, 1703年9月29日 - 1770年5月30日）。
フランソワ・ブーシェは、18世紀フランスのロココ美術を代表する画家です。
「ポンパドゥール夫人の寵愛を受けた宮廷画家」として、また「ロココ様式の体現者」として知られています。
特徴
ロココ様式の体現: 軽快で優美、装飾的なロココ様式を絵画で体現しました。
多才な才能: 絵画だけでなく、版画、タペストリー、舞台装飾など、幅広い分野で才能を発揮しました。
官能的な表現: 神話や寓話を題材に、官能的で甘美な女性像を数多く描きました。
生い立ち
パリで画家の息子として生まれ、幼い頃から絵画に親しみました。
フランソワ・ルモワーヌに師事し、才能を開花させました。
1723年にアカデミー・フランセーズのコンクールで優勝し、ローマ留学の奨学金を得ました。
1728年から1731年までイタリアに滞在し、バロック美術などを学びました。
生涯と背景
帰国後、アカデミー・フランセーズに入会し、宮廷画家として活躍しました。
ルイ15世の寵愛を受け、ポンパドゥール夫人の庇護のもと、数多くの作品を制作しました。
当時のフランス宮廷文化、特にポンパドゥール夫人の文化サロンにおいて中心的な役割を果たしました。
1765年には王立絵画彫刻アカデミーの院長に任命され、フランス美術界の頂点に立ちました。
技法と革新
明るく軽快な色彩、流れるような曲線、繊細な筆遣いを特徴とします。
神話や寓話、風俗画など、幅広いテーマを描きましたが、特に女性美の表現に優れていました。
タペストリーや舞台装飾のデザインも手がけ、総合的な芸術家として活躍しました。
代表作
「ポンパドゥール夫人」：ブーシェの代表作であり、夫人の美貌と知性を華麗に描いています。
「ディアナの水浴」：神話に基づいた作品で、官能的で優美な女性像が特徴です。
「ヴィーナスの誕生」：ロココ美術を代表する作品の一つで、愛と美の女神ヴィーナスを華麗に描いています。
影響と評価
ロココ美術の隆盛に大きく貢献し、同時代の画家たちに多大な影響を与えました。
一方で、その官能的な表現や軽薄な作風は、啓蒙思想家たちから批判も受けました。
近代以降、その芸術性は再評価され、ロココ美術を代表する巨匠として、高い評価を得ています。
ブーシェの作品は、現在でもルーブル美術館をはじめとする世界中の美術館で鑑賞することができます。
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