120位 ダ・ヴィンチ「ウィトルウィウス的人体図」
ダ・ヴィンチ『ウィトルウィウス的人体図』
絵画ではないがルネサンス期の科学を示す重要な資料
- 絵画の題名 ウィトルウィウス的人体図
- 絵画の作者 レオナルド・ダ・ヴィンチ（イタリア）
- 美術様式 ー
- 絵画の制作年 1487年頃
- 絵画の画材 紙、ペンとインク
- 絵画の寸法 34.4cm × 25.5cm
- 絵画の所蔵 アカデミア美術館（イタリア、ヴェネツィア）
ウィトルウィウスとは古代ローマの建築家のことで、
彼の著作『建築論』をもとにレオナルド・ダ・ヴィンチが考察し描いたドローイングが本作。
「人体の調和」とも呼ばれている。 人体比率には普遍的な調和があるとした内容で、
現代科学ではこれが誤りであることがわかっているが、医学のシンボルとして多く用いられている。
参考ページ「常識として知っておきたい世界の名画ランキング の記事一覧 知欲」
レオナルドダヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」は、人体と幾何学の関係性を追求した、非常に有名なドローイングです。
視覚障がいをお持ちの方にも、この作品の魅力を感じていただけるよう、できる限り詳細に解説します。
作品の概要
このドローイングは、古代ローマの建築家ウィトルウィウスの著書「建築論」に基づいて、人体と幾何学的な図形（円と正方形）との関係性を視覚化したものです。
中心となるのは、裸の男性の姿です。
この男性は、2つの異なるポーズで重ねて描かれており、それぞれが円と正方形に内接するように配置されています。
構図の詳細
男性のポーズ:1つ目のポーズ：両足を揃え、両腕を水平に広げた状態。このポーズでは、男性の指先が円周に接し、足が正方形の底辺に接します。
2つ目のポーズ：両足を少し開き、両腕を斜め上方に上げた状態。
このポーズでは、男性が正方形にぴったりと収まります。
幾何学図形:円：男性のへそを中心として描かれています。
正方形：男性の足元を底辺とし、男性が腕を広げた際の指先を上辺とするように描かれています。
図形と人体の関係:ダヴィンチは、ウィトルウィウスの記述に基づき、人体が完璧な比率で構成されていることを示そうとしました。
男性の身体の各部位が、円と正方形の寸法と密接に関連していることがわかります。
表情・ヘアスタイル・視線:男性の表情は冷静で、視線は見る人に向かっておらず、どこか遠くを見ているようです。
髪は短く、カールしています。
色彩
ドローイングは、インクと紙で描かれており、基本的にはモノクロです。紙は時間の経過とともに黄ばんでおり、インクの色も若干薄くなっています。
そのため、肌の色や髪の色を特定することは困難です。
時代背景と作者の意図
ルネサンス期：ダヴィンチが生きたルネサンス期は、古代ギリシャローマの文化が再評価され、科学や芸術が大きく発展した時代です。ダヴィンチの探求心：ダヴィンチは、芸術家であると同時に、科学者、技術者でもありました。
彼は、自然界のあらゆる事物に深い関心を抱き、その構造や法則を解明しようとしました。
人体と宇宙の調和：このドローイングには、人体を宇宙の縮図と捉え、
その完璧な調和を表現しようとするダヴィンチの意図が込められています。
作品の評価
「ウィトルウィウス的人体図」は、ダヴィンチの代表作の一つとして、世界中で高く評価されています。人体と幾何学の関係性を追求したこの作品は、
芸術と科学の融合というルネサンスの理想を象徴するものとして、多くの人々に影響を与えてきました。
現在、このドローイングは、イタリアのヴェネツィアにあるアカデミア美術館に所蔵されており、厳重に保管されています。
この解説が、「ウィトルウィウス的人体図」の理解を深める一助となれば幸いです。
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