114位 カミーユ・ピサロ「カフェ・オ・レを飲む若い農婦」
カミーユ・ピサロ『カフェ・オ・レを飲む若い農婦』
農民の日常を素朴に描いた新印象派
- 絵画の題名 カフェ・オ・レを飲む若い農婦
- 絵画の作者 カミーユ・ピサロ(フランス)
- 美術様式 新印象派
- 絵画の制作年 1881年
- 絵画の画材 油彩、カンヴァス
- 絵画の寸法 cm × cm
- 絵画の所蔵 館(ン)
印象派から新印象派として活動したカミーユ・ピサロの第7回印象派展出品作品。
カミーユ・コローの風景画に学び、印象派のまとめ役となり、
新印象派として活動したカミーユ・ピサロは、風景画を多く描き、
晩年はとくに都市の景観描いた都市風景画を多数のこしている。
カミーユ・ピサロ『モンマルトル大通り、晴れの日の午後』1897年、エルミタージュ美術館
カミーユ・ピサロ『モンマルトル大通り、冬の朝』1897年、メトロポリタン美術館
カミーユ・ピサロ『モンマルトル大通り、夜』1897年、ロンドン・ナショナルギャラリー
カミーユ・ピサロ『テアトル・フランセ広場とオペラ大通り、陽光、冬の朝』1898年、ランス美術館
参考ページ「常識として知っておきたい世界の名画ランキング の記事一覧 知欲」
カミーユピサロの「カフェオレを飲む若い農婦」について、
視覚障がいをお持ちの方にもできるだけ詳しくイメージしていただけるよう、描写などを解説します。
作品の概要
この作品は、カミーユピサロが1881年に描いた油彩です。画面の中央に、質素な服装をした若い農婦が座り、カフェオレを飲んでいる様子が描かれています。
穏やかで落ち着いた雰囲気が漂う作品です。
構図
中央の女性: 画面のほぼ中央に、やや左向きに座る若い女性が配置されています。上半身が大きく描かれ、鑑賞者の視線を引きつけます。
顔と視線: 女性はわずかにうつむき加減で、手に持ったカップに視線を落としています。
表情は穏やかで、内面的な静けさや思索を感じさせます。
手とカップ: 両手でしっかりと温かそうなカップを持っています。
指の形やカップの質感から、日常の何気ない一瞬が切り取られていることが伝わってきます。
背景: 背景は比較的シンプルで、左奥には窓のような明るい光が見えますが、具体的な風景は描き込まれていません。
右側にはぼんやりとした暗い色調が見られ、女性のいる空間の奥行きを感じさせます。
ヘアスタイル: 女性の髪は暗い色で、シンプルにまとめられています。
顔にかかる髪の毛筋が、自然な雰囲気を醸し出しています。
服装: 質素な印象の、おそらく濃い色のブラウスのようなものを着ています。
首元は詰まっており、装飾はほとんど見られません。
色彩
全体の色調: 全体的に落ち着いた、温かみのある色調でまとめられています。茶色、灰色、ベージュといったアースカラーが基調となっています。
女性の肌: 肌の色は、明るすぎず、自然な陰影がつけられています。
髪の色: 深い茶色か黒に近い色で、光の当たり具合によってわずかに色の変化が見られます。
衣服の色: 濃い青、濃い緑、あるいは暗い茶色のような、落ち着いた色合いです。
カップの色: 白に近い明るい色で描かれ、カフェオレの淡い茶色とのコントラストが際立っています。
背景の色: 左奥の窓辺は明るい灰色や白で表現され、光を感じさせます。
右側の背景は、暗い茶色や灰色が混ざり合い、奥行きと静けさを強調しています。
時代背景
この作品が描かれた1881年は、印象派の画家たちがそれぞれの独自の表現を追求していた時期にあたります。ピサロは、モネやルノワールといった印象派の画家たちと交流しながらも、
より堅牢な構成や、農村の人々の生活に目を向けた作品を制作していました。
産業革命が進む中で、都市と農村の対比、人々の生活の変化などが意識されていた時代です。
作者の意図
ピサロは、この作品を通して、農村で働く女性の日常のさりげない一瞬を捉えようとしたと考えられます。華やかさはないものの、日々の生活の中で見られる静けさや、内面の豊かさを表現しようとしたのではないでしょうか。
カフェオレを飲むというごくありふれた行為の中に、その女性の生活や人となりが垣間見えるように描かれています。
また、印象派の色彩や筆致を用いながらも、対象をしっかりと捉え、