105位 フェルメール「デルフトの眺望」
ヨハネス・フェルメール『デルフトの眺望』
光の魔術師が様々な技法を駆使して描いた風景画
- 絵画の題名 デルフトの眺望
- 絵画の作者 ヨハネス・フェルメール（オランダ）
- 美術様式 オランダ・バロック
- 絵画の制作年 1659年?1660年
- 絵画の画材 油彩、カンヴァス
- 絵画の寸法 97cm × 116cm
- 絵画の所蔵 マウリッツハイス美術館（オランダ、ハーグ）
『真珠の耳飾りの少女』で有名なフェルメールが描いた風景画。
謎に包まれたフェルメールが生涯を過ごしたデルフトの都市景観を描いた。
運河越しのこの風景は実際のものとは異なり、
構図を優先し建物の配置をずらし、建物の高さもあえて低く描いている。
部分的にかなり厚く絵具を重ねているところもあれば、
点描のように光の反射を表現したり、水は薄く溶いた絵の具を境目なく重ね透明感を表現した。
近景を雲の影にはいるように暗めに、遠景に光を当てることで奥行きを与えている。
参考ページ「常識として知っておきたい世界の名画ランキング の記事一覧 知欲」
フェルメールの「デルフトの眺望」ですね。
視覚障がいをお持ちの方にもイメージが伝わるよう、できる限り詳しく解説します。
作品の概要
この作品は、オランダの画家ヨハネスフェルメールが1660年から1661年頃に描いた油絵です。フェルメールの風景画として現存する2点のうちの1つで、彼の故郷であるデルフトの街並みが描かれています。
現在、オランダのハーグにあるマウリッツハイス美術館に所蔵されています。
構図
絵は、手前の水面から奥の街並みへと視線が誘導される構図になっています。手前には、水面と岸辺が描かれ、数隻の船が停泊しています。
中央には、街の城壁と門が堂々と描かれています。
奥には、教会の尖塔など、デルフトの街並みが広がっています。
右下の三角形の水域（コルクと呼ばれた）から見た風景が描かれています。
色彩
全体的に、明るく穏やかな色彩で描かれています。空は、白を基調とした明るい灰色と青で、地上に近い部分は鉛白と鉛錫黄で明るくなっています。
水面は、光を反射してきらきらと輝き、透明感のある青や灰色で描かれています。
街並みは、レンガ色の屋根、白い壁、緑色の木々など、様々な色彩が組み合わさって表現されています。
右端のロッテルダム門の近くにつながれている2隻の船は、黒く塗られています。
時代背景
17世紀のオランダは、貿易で繁栄し、「黄金時代」と呼ばれていました。フェルメールは、そのような時代のデルフトで生まれ、生涯をこの街で過ごしました。
この作品は、当時のデルフトの豊かな様子を今に伝えています。
作者の意図
フェルメールは、単に街並みを写実的に描くのではなく、光の表現や構図に工夫を凝らすことで、独自の風景画を生み出しました。彼は、光と影のコントラストを巧みに使い、街並みに奥行きと立体感を与えています。
フェルメールは建築物を現実と異なる配置にしています。
実際の配置より画面構成を優先したと考えられています。
作品の評価
「デルフトの眺望」は、フェルメールの代表作の一つであり、彼の風景画の傑作として高く評価されています。その写実的な描写と、光の表現、構図の美しさは、見る人を魅了し続けています。
この作品は、17世紀オランダの風景画の最高傑作の一つと言われています。
補足情報
フェルメールは、「光の魔術師」と呼ばれるほど、光の表現にこだわった画家でした。フェルメールの作品は現存するものが非常に少ないため、とても貴重な作品と言えます。
フェルメールはカメラオブスクラというピンホールカメラのような道具を使っていたのではないかと言われています。
この解説が、視覚障がいをお持ちの方の作品鑑賞の一助となれば幸いです。
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