97位 ラトゥール「聖ヨセフ」
ラトゥール『聖ヨセフ』
劇的な光の効果を用いて聖ヨセフを大工として描いた
- 絵画の題名 聖ヨセフ
- 絵画の作者 ジョルジュ・ド・ラ・トゥール（フランス）
- 美術様式 フランス・バロック
- 絵画の制作年 1642年
- 絵画の画材 油彩、カンヴァス
- 絵画の寸法 130cm × 100cm
- 絵画の所蔵 ルーヴル美術館（フランス、パリ）
明暗法（キアロスクーロやテネブリズム）を用いて照明の劇的印象を効果的に利用した絵画を描く「夜の画家」ラ・トゥールが描くキリスト教絵画。
イエスの父ヨセフは大工であり、本作は子どものイエスと大工仕事をするヨセフを描く。
イエスの左手からすけるロウソクの光、映し出されるイエスの顔とヨセフ、とても静かで神秘的な雰囲気を出している。
光源はろうそくの1点のみ。キリストが世界を照らす光もあらわしている。
ヨセフが作る物は後にイエスが掛けられることとなる十字架を暗示している。
参考ページ「常識として知っておきたい世界の名画ランキング の記事一覧 知欲」
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール作「聖ヨセフ」について、
視覚障がいをお持ちの方にもイメージしやすいよう、できる限り詳しく解説します。
作品の概要
「聖ヨセフ」は、17世紀フランスの画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールが描いた油彩画です。幼いイエス・キリストと聖ヨセフの日常的な場面を描きながら、キリストの受難を予兆させる象徴的な意味合いを持っています。
構図
人物配置: 画面中央に聖ヨセフ、右側に幼いイエスが描かれています。二人は互いに身を乗り出すように向き合っており、親密な雰囲気を醸し出しています。
聖ヨセフ: 聖ヨセフは作業台に向かい、木材に穴を開けようとしています。
その表情は、作業に集中している様子を表しています。
イエス・キリスト: イエスは聖ヨセフが穴を開けようとしている木材に手を添えています。
幼いながらも、その表情は真剣で、聖ヨセフの作業に興味津々な様子がうかがえます。
視線: 聖ヨセフは手元の作業に視線を落としており、イエスは聖ヨセフの作業を見つめています。
背景: 背景は暗く、二人の人物が光によって浮かび上がるように描かれています。
色彩
光と影: ラ・トゥールは、画面の中に光源を置く「夜景画」を得意としました。この作品でも、ろうそくの光が二人を照らし出し、劇的な明暗のコントラストを生み出しています。
聖ヨセフ: 聖ヨセフは、茶色や灰色などの落ち着いた色の衣服を身に着けています。
肌の色は、ろうそくの光によって暖かく照らされています。
イエス・キリスト: イエスは、明るい色の衣服を身に着けており、その純粋さが際立っています。
肌の色は、聖ヨセフと同様に、ろうそくの光によって暖かく照らされています。
背景: 背景は暗い茶色や黒色で塗りつぶされており、光によって浮かび上がる人物像を際立たせています。
時代背景と作者の意図
17世紀フランス: この作品は、17世紀のフランスで制作されました。当時のフランスは、宗教改革の影響を受け、キリスト教の信仰が深く根付いていました。
ラ・トゥールの宗教画: ラ・トゥールは、宗教画を数多く制作しました。
これらの作品では、日常的な場面を通して、宗教的なメッセージを伝えようとする意図がうかがえます。
象徴性: 聖ヨセフが穴を開けようとしている木材は、キリストが磔刑に処された十字架を暗示していると考えられています。
また、ろうそくの光は、キリストの存在そのもの、あるいは神の啓示を象徴しているとも解釈できます。
作品の評価
光の画家: ラ・トゥールは、「光の画家」として知られています。その作品は、光と影の巧みな表現によって、見る者に深い印象を与えます。
宗教的感情: 「聖ヨセフ」は、聖家族の日常生活を描きながら、キリストの受難を予兆させる象徴的な意味合いを持っています。
この作品は、見る者の心に静かな感動と宗教的な感情を呼び起こします。
再評価: ラ・トゥールは、19世紀まで忘れられた画家でしたが、20世紀に入り再評価されました。
現在では、17世紀フランスを代表する画家の一人として、高い評価を得ています。
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