92位 カラヴァッジオ「聖マタイの召命」
カラヴァッジオ『聖マタイの召命』
聖書の逸話を描いたバロック絵画の幕開け
- 絵画の題名 聖マタイの召命
- 絵画の作者 ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ(イタリア)
- 美術様式 バロック
- 絵画の制作年 1559年?1600年
- 絵画の画材 油彩、カンヴァス
- 絵画の寸法 322cm × 340cm
- 絵画の所蔵 サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会(イタリア、ローマ)
人々から嫌われる徴税官であったマタイをキリストが弟子とした聖書の場面を描く。
一番右で指を指す人物がキリスト。一番左でうつむき金を数える人物がマタイ。
マタイが立ち上がりイエスに付いていく直前の緊迫したシーンを劇的に描いた。
カラヴァッジョの公的なデビュー作であり、最初のバロック絵画となる西洋美術史上重要な作品。
『イエスは、そこを去って道を通りながら、
収税所にすわっているマタイという人をご覧になって、「わたしについて来なさい」と言われた。
すると彼は立ち上がって、イエスに従った。
』(マタイの福音書 9章9節、「聖書 新改訳」いのちのことば社)
バロック絵画はそもそもキリスト教を布教するため聖書の場面を劇的な効果で描いた絵画であって、
バロック絵画の創始者ともいえるカラヴァッジョも聖書の場面を多く描いた。
カラヴァッジョ『ゴリアテの首を持つダビデ』1609年?1610年、ボルゲーゼ美術館
旧約聖書『サムエル記』
カラヴァッジョ『ホロフェルネスの首を斬るユディト』1595年?1596年、バルベリーニ宮
旧約聖書外典『ユディト記』より
カラヴァッジョ『ロザリオの聖母』1606年?1607年、ウィーン美術史美術館
左の聖ドミニコと聖母マリアが周囲の信者とキリストの間をつなぐという、
宗教改革に対抗するためのバロック絵画そのものの役割をもった絵画
カラヴァッジョ『聖ペテロの磔刑』1601年、サンタ・マリア・デル・ポポロ教会
キリストの第一弟子ペテロが逆さ十字架にて殉教する姿を描く。
新約聖書外典『ペトロ行伝』より
参考ページ「常識として知っておきたい世界の名画ランキング の記事一覧 知欲」
カラヴァッジオの「聖マタイの召命」ですね。
この作品を視覚障がいをお持ちの方にもイメージしていただけるよう、詳しく解説します。
作品の概要
この絵は、17世紀初頭のイタリアの画家、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオによって描かれました。新約聖書の「マタイによる福音書」の一場面、イエス・キリストが徴税人であったマタイを弟子として召し出す瞬間を描いています。
ローマのサン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会のコントレー礼拝堂に展示されています。
構図と描写
画面は、薄暗い室内と、そこへ差し込む光によって二分されています。右側から光が差し込み、イエス・キリストが右手を伸ばしてマタイを指しています。
マタイは、数人の仲間とともにテーブルを囲み、お金を数えています。
マタイ自身は、驚いたような表情で、自分の胸を指しています。
テーブルの上の人々は、当時の庶民の服装をしており、イエスの服装とは対照的です。
イエスと仲間の一人は、当時の服装とはちがい裸足で描かれています。
登場人物たちの視線は、イエスとマタイの間のドラマチックなやり取りに集中しています。
色彩
全体的に暗い色調で、光と影のコントラストが際立っています。イエスの衣服は、暗い色調の中にわずかに明るい部分が見られます。
マタイたちの衣服は、茶色や暗い緑色など、落ち着いた色合いです。
光が当たる部分と影の部分の色の変化が、立体感を生み出しています。
背景の壁の暗い色調が、人物たちを際立たせています。
時代背景と作者の意図
カラヴァッジオは、17世紀初頭のバロック絵画の巨匠であり、光と影を効果的に用いた劇的な表現を得意としました。彼は、聖書の物語を当時の庶民の姿で描き、宗教画に新たなリアリズムをもたらしました。
この作品では、日常的な空間に突如として現れる聖なる存在を描くことで、神の力が日常に介入する瞬間を表現しています。
当時の絵画としては珍しく聖書に出てくる人物を理想化せず、現実的に描いたことがこの絵画の特徴です。
作品の評価
「聖マタイの召命」は、カラヴァッジオの代表作の一つであり、バロック絵画の傑作として高く評価されています。光と影の劇的な表現、庶民の姿を描いたリアリズム、そして人間の心理を描き出す力は、後世の画家に大きな影響を与えました。
この解説が、作品を鑑賞する上で少しでもお役に立てれば幸いです。
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