87位 コロー「モルトフォンテーヌの思い出」
カミーユ・コロー『モルトフォンテーヌの思い出』
幻想的な銀灰色のコロー風景画
- 絵画の題名 モルトフォンテーヌの思い出
- 絵画の作者 カミーユ・コロー（フランス）
- 美術様式 バルビゾン派（写実主義）
- 絵画の制作年 1864年
- 絵画の画材 油彩、カンヴァス
- 絵画の寸法 65cm × 89cm
- 絵画の所蔵 ルーブル美術館（フランス、パリ）
「真珠の女」で有名なカミーユ・コローは、本来はバルビゾン派の風景画家。
本作は風景画家のカミーユ・コロー代表作で、パリ郊外のモルトフォンテーヌを描いた。
コロー風景画の特徴は銀灰色の色調の中の輝く光で、本作はその代表作で詩的で静かな風景画となっている。
ナポレオン3世のお買い上げとなった。
参考ページ「常識として知っておきたい世界の名画ランキング の記事一覧 知欲」
コローの「モルトフォンテーヌの思い出」ですね。
視覚障がいをお持ちの方にもイメージが伝わるよう、詳しく解説します。
作品の概要
作品名: モルトフォンテーヌの思い出作者: ジャン＝バティスト・カミーユ・コロー
制作年: 1864年
所蔵: ルーヴル美術館
構図:
画面全体は、穏やかな湖畔の風景が広がっています。画面右側には、力強い幹を持つ大きな木が描かれており、その枝葉が画面を覆うように広がっています。
画面中央から左側にかけては、穏やかな湖面が広がっており、木々の緑が水面に映り込んでいます。
湖畔には、二人の女性がたたずんでいます。
一人は立っており、もう一人は座っています。
遠景にはぼんやりとした木々のシルエットが描かれ、奥行きを感じさせます。
人物:湖畔にいる二人の女性は、当時の田舎の風景によく見られるような、質素な服装をしています。
表情や視線は細かく描かれていませんが、風景の中に溶け込むように、穏やかな雰囲気を醸し出しています。
服装の色合いは、風景に溶け込むような、落ち着いた色調で描かれています。
色彩:
全体的に、銀灰色を基調とした、落ち着いた色調で描かれています。木々の緑は、明るい緑から暗い緑まで、様々な色合いが用いられ、豊かな表情を生み出しています。
湖面の青は、空の色を映し込み、穏やかな光を感じさせます。
光の表現が非常に巧みで、朝靄のような、あるいは夕暮れ時のような、独特の空気感を醸し出しています。
時代背景と作者の意図:
19世紀フランスの画家コローは、バルビゾン派と呼ばれる、自然主義的な風景画を描いた画家の一人です。この作品は、コローが晩年に到達した、詩的で夢幻的な風景画の代表作として知られています。
コローは、実際の風景を写実的に描くのではなく、自身の心象風景を、情感豊かに表現しようとしました。
「モルトフォンテーヌの思い出」は、特定の場所の風景を描いたものではなく、コロー自身の記憶や感情を重ね合わせた、理想化された風景であると考えられています。
作品の評価:
「モルトフォンテーヌの思い出」は、コローの最高傑作の一つとして、高く評価されています。その詩的で情感豊かな表現は、多くの人々の心を捉え、後世の画家に大きな影響を与えました。
この作品は、絵画を見る人に安らぎと郷愁の念を感じさせると言われています。
補足
コローは、風景画の中に、しばしば人物を配置しましたが、人物はあくまでも風景の一部として描かれ、風景全体の雰囲気を高める役割を果たしています。
コローの晩年の作品は、特に光の表現が優れている事で知られています。
コローは、写実的な表現だけでなく、ぼかしや滲みなどの技法を駆使し、独特の空気感や光の表現を生み出しました。
この解説が、視覚障がいをお持ちの方の絵画鑑賞の一助となれば幸いです。
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