74位 ギュスターヴ・モロー「出現」
ギュスターヴ・モロー『出現』
聖書の逸話を象徴的に表現した世紀末の巨匠
- 絵画の題名 出現
- 絵画の作者 ギュスターヴ・モロー（フランス）
- 美術様式 象徴主義
- 絵画の制作年 1876年
- 絵画の画材 水彩
- 絵画の寸法 106cm × 72.2cm
- 絵画の所蔵 オルセー美術館（フランス、パリ）
宙に浮くのは洗礼者ヨハネの首。
首からは血が滴り、床に血だまりを作る。
ヘロデ王の娘サロメが、ヘロデ王に舞踏を捧げたお礼として洗礼者ヨハネの首を所望し、盆にヨハネの首を載せている有名なシーン。
象徴主義を代表する巨匠ギュスターヴ・モローは、
従来別々に描かれていた「踊るサロメ」と「ヨハネの首が乗った盆を持つサロメ」をひとつの絵画に融合し、
ヨハネの首が空中に出現するという幻想的な演出で描いた。
ギュスターヴ・モロー『ヨハネの首を盆で運ぶサロメ』1876年、個人蔵
ギュスターヴ・モロー『ヘロデ王の前で踊るサロメ』1876年、ハマー美術館
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作品の概要
ギュスターヴ・モローの「出現」ですね。
この絵画は、視覚に障がいをお持ちの方にもイメージしていただけるよう、できる限り詳細に解説します。
構図:
画面中央には、妖艶な女性、サロメが描かれています。
彼女は、宙に浮かぶ洗礼者ヨハネの首を見つめています。
画面右側には、ヘロデ王とヘロデヤが描かれています。
彼らは背景に溶け込むように描かれ、サロメとヨハネの首を際立たせています。
画面左側には、背景に溶け込むように数人の人物が描かれています。
画面全体は、豪華な宮殿の一室を思わせる空間で、幻想的で神秘的な雰囲気を醸し出しています。
サロメ:サロメは、豪華な装飾が施された衣装を身にまとい、官能的なポーズをとっています。
彼女の表情は、驚き、恐怖、欲望などが入り混じった複雑なものです。
彼女の視線は、宙に浮かぶヨハネの首に釘付けになっています。
髪型は、黒色の長髪で装飾品がついています。
洗礼者ヨハネの首:ヨハネの首は、血が滴り落ちる生首として描かれており、非常に生々しい印象を与えます。
首は光を放ち、サロメを照らし出しています。
色彩:
全体的に、金、赤、黒などの鮮やかで強い色彩が用いられています。
サロメの衣装は、金や宝石で装飾され、豪華絢爛な雰囲気を醸し出しています。
ヨハネの首から滴り落ちる血は、黒に近い赤色で、生々しさを強調しています。
背景は、暗い色調で描かれ、サロメとヨハネの首を際立たせています。
時代背景と作者の意図
19世紀後半のヨーロッパでは、象徴主義と呼ばれる芸術運動が隆盛していました。
モローは、この運動の代表的な画家の一人です。
「出現」は、新約聖書に登場するサロメの物語を題材としています。
モローは、この物語を独自の解釈で描き、人間の欲望や官能、死などのテーマを探求しました。
モローは、聖書の物語に、彼自身の幻想性、神秘性を織り交ぜ、独特の世界観を創り上げました。
作品の評価
「出現」は、モローの代表作の一つとして高く評価されています。
その幻想的で神秘的な雰囲気、鮮やかで強い色彩、そして複雑な象徴性は、多くの人々を魅了してきました。
この作品は、象徴主義絵画の傑作として、美術史にその名を刻んでいます。
補足・モローは、細部にまでこだわり、緻密な描写を重ねることで、独特の世界観を創り上げました。
この作品には、モローの豊かな想像力と、卓越した画力が遺憾なく発揮されています。
この説明が、視覚障がいをお持ちの方の絵画鑑賞の一助となれば幸いです。
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