61位 マネ「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」
エドゥアール・マネ『すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ』
印象派の指導者が描く印象派の女流画家
- 絵画の題名 すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ
- 絵画の作者 エドゥアール・マネ（フランス）
- 美術様式 印象派
- 絵画の制作年 1872年
- 絵画の画材 油彩、カンヴァス
- 絵画の寸法 55.5cm × 40.5cm
- 絵画の所蔵 オルセー美術館（フランス、パリ）
時代的に珍しく女性でありながら画家として活躍したベルト・モリゾの肖像画。
描いたのは印象派の指導者として活躍したエドゥアール・マネで、
この絵が描かれた約2年後ベルト・モリゾはマネの弟と結婚し、その約4年後に生まれた娘も画家（ジュリー・マネ）となった。
印象派としては珍しく黒い絵具を多く用いたマネは本作でも黒を多く使っている。
ベルト・モリゾはロココのフラゴナールの家系であるとも言われていて、
姉とともに画家を目指し『真珠の女』で有名なカミーユ・コローに弟子入りした。
後に姉は画家を辞めるが、ベルト・モリゾはマネに弟子入りする。
マネの弟子として画家活動を続ける中で、マネはベルト・モリゾの肖像画を多く描いた。
本作もそのなかの一枚。
現在ではベルト・モリゾ本人の作品よりもマネが描いたこの肖像画のほうが有名。
下記はベルト・モリゾの作品。
ベルト・モリゾ『ブージヴァルの庭のウジェーヌ・マネと娘』1881年、マルモッタン美術館
マネの弟でベルト・モリゾの夫のウジェーヌ・マネと、娘のジュリー・マネを描いた。
ベルト・モリゾ『ロリアンの小さな港』1869年、ワシントン・ナショナルギャラリー
参考ページ「常識として知っておきたい世界の名画ランキング の記事一覧 知欲」
作品の概要
「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」は、印象派の巨匠エドゥアール・マネが描いた肖像画です。
視覚障がいをお持ちの方にも作品の魅力を感じていただけるよう、できる限り詳細に解説します。
構図:
絵の中央に、ベルト・モリゾという女性が描かれています。
彼女はほぼ正面を向いていますが、わずかに右側を向いています。
上半身が主体となっており、背景はぼんやりとしていて、彼女の姿が際立つように描かれています。
彼女の顔は、やや下向き加減で、視線は鑑賞者から外されています。
表情・ヘアスタイル・視線:
ベルト・モリゾは、物憂げで内省的な表情をしています。
彼女の髪は、暗い色で、ゆるやかにウェーブしており、無造作な感じでまとめられています。
視線は、鑑賞者から外されており、彼女の内面世界に引き込まれるような感覚を覚えます。
色彩:
全体的に、黒、灰色、白などの暗い色調が主体となっています。
ベルト・モリゾの服装は、黒いドレスで、首元に白いレースがあしらわれています。
彼女の胸元には、すみれのブーケが添えられており、その紫色の花が、暗い色調の中でひときわ目を引きます。
肌の色は、白く、わずかにピンク色が感じられます。
時代背景:
この作品は、19世紀後半のパリで制作されました。
当時のパリは、近代化が進み、芸術の世界でも、伝統的な絵画から、印象派のような新しい表現が生まれていました。
ベルト・モリゾは、マネと同時代の画家であり、印象派の女性画家として知られています。
彼女は、マネの友人であり、彼の作品のモデルも務めました。
作者の意図:
マネは、ベルト・モリゾの内面的な美しさを表現しようとしたと考えられます。
すみれのブーケは、彼女の繊細さや儚さを象徴しているとも言われています。
当時の女性の肖像画としてはめずらしく、物憂げな表情で、内面性をだすような表現は、マネの新しい試みであったと考えられています。
作品の評価:
この作品は、マネの代表作の一つとして高く評価されています。
印象派の先駆的な作品として、美術史的にも重要な意味を持っています。
モデルとなったベルト・モリゾ自身も、印象派を代表する女性画家として、近年再評価の流れが強まっています。
補足:この作品は、マネの個人的な感情が込められた作品であると考えられています。
すみれのブーケは、彼女への友情や尊敬の念を表しているのかもしれません。
この解説が、視覚障がいをお持ちの方の作品鑑賞の一助となれば幸いです。
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