アルノルフィーニ夫妻



ヤン・ファン・エイク「アルノルフィーニ夫妻」の紹介をします。




37位 ヤン・ファン・エイク「アルノルフィーニ夫妻」 ヤン・ファン・エイク『アルノルフィーニ夫妻』 油彩画を確立した「神の手を持つ画家」による歴史上初となる精緻な油彩の風俗画

  • 絵画の題名 アルノルフィーニ夫妻
  • 絵画の作者 ヤン・ファン・エイク(ベルギー)
  • 美術様式 初期フランドル(北方ルネサンス)
  • 絵画の制作年 1434年
  • 絵画の画材 油彩、板
  • 絵画の寸法 82cm × 60 cm
  • 絵画の所蔵 ロンドン・ナショナルギャラリー(イギリス、ロンドン)

フランドル地方のいわゆる北方ルネサンスに分類される画家ヤン・ファン・エイクは、「神の手を持つ」と称されるほどに緻密な描写を得意とした。 溶いた油を薄く塗ることで重ね塗りをする油彩画を確立した画家でもあり、本作は緻密に描かれた初めての油彩画として非常に重要な絵画。 さらに本作は富裕層ではあるが一般市民の日常の風景を描いた初の風俗画ともいわれる。 本作の主題は結婚の立ち会いとみられ、本作自体が結婚証明書としての効力をもったと考えられている。

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  • 作品の概要

    ★エイク「アルノルフィーニ夫妻」について、視覚障碍者の方にも伝わりやすいように、できるだけ詳しく説明します。

    1. 構図

    この絵画は、室内に立つ二人の人物を中心に描かれています。以下に構図の詳細を説明します。
    中央左側:男性(アルノルフィーニ氏)
    黒い広縁の帽子をかぶり、暗緑色の長い外套(マントのような衣服)をまとっています。
    裾は長く、豪華さを感じさせます。
    右手は手のひらを上に向け、女性の手を軽く握っています。左手は体の横に垂れています。
    彼の視線は鑑賞者をじっと見つめているようです。表情は落ち着いていて威厳があります。
    中央右側:女性(アルノルフィーニ夫人)
    青みがかった緑色の長いドレスを着ています。ドレスは非常に重厚で、袖や裾が広がり豪華さを感じます。
    ドレスの下には白い布(ペチコート)がのぞいています。
    彼女はややお腹が膨らんでいるように見えますが、これは当時の美的感覚やファッションによるものとされています。
    髪はおおむね頭にタイトにまとめられ、白いヴェールで覆われています。
    彼女も夫と同様、視線を鑑賞者に向けていますが、表情は控えめで穏やかです。
    背景 : 室内は豪華な家具や装飾品が配置されています。
    中央の壁には円形の鏡があり、その周囲にキリストの受難を描いた小さな場面が連なっています。
    鏡には二人の後ろ姿が映り込んでおり、さらに二人の背後にいる2人の人物が確認できます。
    このうち1人は画家自身とされています。
    鏡の上には「ヤン・ファン・エイクここにいた(Johannes de Eyck fuit hic)」というラテン語の署名が見られます。
    室内右奥にはベッドがあり、赤いカーテンが目を引きます。
    天井から吊るされた豪華なシャンデリアには、蝋燭が1本だけ灯されています。

    2. 色彩

    この絵は非常に細かく、豊かな色彩で描かれています。
    衣服の色 : 男性:深い緑色と黒色の衣服がシックで落ち着いた印象を与えます。
    女性:鮮やかな緑色のドレスは高貴な雰囲気を漂わせます。ドレスの縁取りには金色の刺繍が施され、豪華さを強調しています。
    ベールやペチコートは純白で、柔らかい質感が伝わります。
    背景の色 : 壁や床は暗い茶色や濃い赤色で、室内全体が温かみを感じさせる色調です。
    鏡の縁や装飾は金色で、豪華な印象を強めています。
    ベッドのカーテンは鮮やかな赤色で、象徴的なポイントになっています。
    肌や髪の色 : 二人の肌は白く、やや透明感があります。
    男性の髪とひげは濃い茶色、女性の髪は明るい茶色から金色に近い色合いです。

    3. 時代背景

    この作品は1434年、北ヨーロッパのブルゴーニュ地方で描かれました。
    当時、北方ルネサンスが始まりつつあり、特にフランドル地方では油彩技術が発展していました。
    この絵画はブルゴーニュ公フィリップ善良公の宮廷画家であったヤン・ファン・エイクによって制作されました。
    油彩技術を駆使した緻密な描写が特徴で、特に素材感や光の表現に優れています。
    当時のヨーロッパでは、結婚や富の象徴としての肖像画が流行しており、この作品もその一例とされています。

    4. 作者の意図

    「アルノルフィーニ夫妻」にはいくつかの解釈がありますが、主な意図は以下の通りとされています。
    結婚の証明 : この絵画は、アルノルフィーニ夫妻の結婚の契約や証明を目的とした可能性があります。
    鏡に映る証人の姿や、画家自身の署名がその証拠として解釈されています。
    富と地位の象徴 : 絵画全体から感じられる豪華な衣装や家具は、夫妻の富と社会的地位を強調しています。
    宗教的象徴性 : 絵画の細部には、キリスト教の象徴が散りばめられています。
    たとえば、女性の衣服の緑色は希望や豊穣を表し、燃える蝋燭は神の臨在を示しています。

    5. 作品の評価

    「アルノルフィーニ夫妻」は、ヤン・ファン・エイクの代表作であり、油彩画の歴史における重要な作品です。
    その緻密な技術と象徴的な表現が高く評価されています。
    技術面 : 細部の描写や光と影の表現は、当時の絵画技術の頂点を示しています。
    特に鏡や布地の質感は見事です。
    象徴性と多義性 : この絵画は、細部に込められた象徴性が多様な解釈を生んでおり、学術的な議論の対象となっています。
    文化的影響 : その革新的な描写と構図は後の画家たちに多大な影響を与えました。
    このように「アルノルフィーニ夫妻」は、美術史上極めて重要な位置を占める作品であり、多くの謎や魅力に満ちています。
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